セブン&アイ鈴木敏文会長は、「顧客第一主義」という言葉に危なさを感じています。
「顧客のためにこんなに努力しているのになぜ売れないんだ」と悩んでいる人が顧客第一という言葉を使います。
でも、それは「顧客のために」がんばっている自分のことを考えているのであって、「顧客の立場」で考えていることにはなりません。
鈴木会長は社内で「顧客のために」という言葉を使うことを禁じています。
顧客のために一生懸命努力しているという裏には顧客とはこういうものだと決めつけている場合が多く、どうしても過去の成功事例などに目が行きがちです。
食の安全性は当然考えなければいけないことです。
顧客のために今ある生産や物流システムのなかで当然考えなければいけないことです。
でもそれは顧客の立場で考えることではありません。
顧客の立場で考えるとはどういうことでしょう。
食の安全性に加え、例を挙げれば、いつ行っても味や鮮度の良いパンや総菜を手に入れたい願望をかなえるにはどうしたらよいかと考えることです。
それは現在稼働しているシステムを根本的に変えなければならないほどエネルギーを要することかもしれません。でもそれを実現できてこそ「顧客の立場」で考えたことになるのです。
顧客の立場で考えたければ、一度自分が仕事を離れ、買い手の気持ちに成りきる必要があります。
顧客のニーズは変化しています。
過去の経験、調査に頼っていてはとても顧客の立場で考えることはできません。
誰もが仕事を離れれば顧客の1人です。
まずは自身の気持ちを深く掘り下げていく必要があります。
セブンイレブンのアルバイトにアイデアを募集したところ顧客としての自分の深層心理を掘り当て素晴らしい提案をしてくれたそうです。
「クリスマスの日はデート中のエチケットとして彼も彼女もガムを買うのではないか」
「お正月はおばあちゃんの家でお年玉をたくさんもらった子どもにポケモンのグッズが売れるのではないか」
顧客の立場で考えるとは、顧客もまだ気づいていない潜在的なニーズを掘り当てることでもあるのです。
【参考図書】
なぜ、セブンでバイトをすると3カ月で経営学を語れるのか?
―鈴木敏文の「不況に勝つ仕事術」40 (プレジデントブックス)
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正に心の奥にあった言葉が出てきたような感じがしました。
「顧客の為に」は提供する側の言葉だったんですね。
本当に顧客になって製品を見る、いやその前に顧客でない人となって製品を見る事が大事なのかも。
そういう人達の心の底を目指さなければいけないのでしょうね。
すずボスさん
自分たちの仕事に関して「顧客の立場」になって考えるのはほんとうに難しいとだと思います。ほとんどのケースで自分たちのクビを締めることにつながりますものね。でも、競争に打ち勝つためにはそうしないといけないんですよね。トップだけでなく下から出てきた提案であってもそれが真の顧客の側に立つものであれば無視したり握りつぶすのではなく、みんなでやろうじゃないかと士気が上がるような社風になれるといいと思います。
「顧客のため」といって、なんでも個別のお客様の要望を聞いているのでは、市場の声をつかんだことにはなりませんよね。
徹底してお客様の側に立った視点で商品、サービスを見ることがとても大切だと思います。そこから「仮説」も生まれるし、「実践」→「検証」へとつながるのでしょう。
マーさん
徹底してお客様の側に立つ視点をもつために何が必要かという点について、これまでメルマガやブログで取り扱ったビジネス本では名前を変え形を変えいろいろな手法が紹介されていましたがどれも根は同じなのかなと思えてきました。最近の例で言うと、
神田昌典氏の著書「全脳思考」では本質的な問題に触れるための思考のフレームワーク「U理論」、
齋藤孝氏の著書「読む・書く・話すを一瞬でモノにする技術」では「自分をくぐらせる」という言い方で、そしてセブンアイの鈴木会長は「なぜセブンでバイトをすると~」で、「自分と顧客は地下水脈でつながっている」と説明しています。いずれにしても潜在意識にまで思考を掘り下げなければ顧客の側に立った仮説には行き着かないということなのでしょうね。
マーケティングといえばついつい市場データと睨めっこし、それが全てだと思ってしまいます。確かにそれもニーズを反映しているとは思いますが、ある意味では「手抜き」ですね。購入するのは人間であり、数値化されたデータでは無い。改めて自社の製品を考えさせられました。
くーじゃんさん
市場データは検証に使えても仮説には向かないと鈴木会長は言ってました。ただ、データに示された数値でも、その日は「売れ足が早かった」というような定性データが含まれているときは、次の仮説を立てるときに有効になるのだそうです。