なかなか見応えのある作品でした。
日本映画もまだまだ捨てたものではないと安堵しました。
映画は航空機の墜落シーンから始まります。
墜落直前の機内の様子や墜落現場の惨状が圧倒的なスケールとリアリティで迫ってきます。
「沈まぬ太陽」は官製航空会社の腐敗、暗部を描いた企業ドラマです。
人件費を抑え、過酷な労働条件を課し、政府の顔色ばかり見ている会社上層部に対し、東大法学部卒のエリート社員であった主人公恩地元(渡辺謙)は組合活動を通して会社側に徹底的に経営及び待遇の改善を突きつけます。
その活動が疎まれ、恩地はイランやアフリカの支店を転々と勤務することになります。
恩地の家族は現地でも不自由するし、恩地を残して日本に帰っても「赤の子ども」などと言われ惨めな思いをします。
それでも恩地は同僚から上層部に詫び状を書くことを勧められてもこれを断りおのれの信念を貫きます。
やがて、520人の死者を出す史上最悪のジャンボ機墜落事故が起きます。
恩地は国内に戻り怒りと悲しみの遺族への対応に忙殺されます。
事故後も会社の本質は変わらず経営がさらに厳しさを増したことから、時の総理大臣は紡績会社の経営者である国見正之(石坂浩二)を航空会社の会長にあてます。
国見会長は恩地のこれまでの活動とその人柄を見込み、恩地を部長職として取り立て、ともに経営改革に当たることにします。
このドラマは決して胸のすくような勧善懲悪のドラマではありません。
国見会長は志半ばで会長職を退けさせられ、恩地もまた海外赴任に追いやられます。
しかし、恩地は最後まで信念を負けずに戦い抜きました。
その男ぶりは見事なものです。
家族もそんな恩地にギリギリのところで理解を示します。
この作品は、主人公の孤独な戦い、遺族の悲しみ、企業内部の暗部などを3時間22分という上映時間のなかで見事に描き出しています。
作品の最後にこれはフィクションであることの断りがエンドロールで流れるのですが、どう考えても日本航空がモデルにされていることがまるわかりです。
映画館を出てしばらくは「恩地」になりきり肩で風を切って歩きました。
ところで、いくら日本航空が現在政府主導で再建が進められるといっても、ここまで過激に描かれて本当にいいの?
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私も観ましたよ。
墜落事故の数年後に、仕事の関係で日航の方と知りいあいましたが、事故の緊張感も感じられないし、映画で描かれている会社側人間、下っ端役人的な体質を強く感じたものです。
山崎豊子さんの大変な取材力で描かれた原作は、かなり事実を反映しているといわれていますが、納得できます。
事実に近いからこそ、制作に対していろいろな圧力がかかったのでしょうね。
税金が投入されようとしているのに、公表された企業年金の水準は大変驚きました。在職中もいい思いをされたのですから、特に高い水準の受給者の年金切り下げもやむをえないのではないでしょうか。
映画は見ていませんが、フィクションですから良いんです、多分。
日本には空港が多く、正に国営のムダで、日航はそれに付き合って甘い汁を吸ってしまって今の状態なのかな、と思うばかりです。やっぱり国じゃなくお客様からお金を頂くって事を忘れてしまってたんでしょうか。
マーさん
ここまで描いて山崎豊子さんは命を狙われるようなことはなかったのだろうかと心配したほどです。企業年金の記事は私も読みました。年金切り下げたところで余裕の老後だなと思いました。それと組合の数が8つあると書いていたので、映画と重ね合わせて、御用組合も入り交じっていまだに組合どうしでいさかいしているのだろうかと想像しました。日航はこの映画に対して正式にコメントをするべきだと思います。
すずボスさん
映画の中で空港をつくるごとに関連会社がホテルをつくっていました。海外のホテル建設においては実際にかかった建設費より高めに自国に報告しその利ざやを稼いでいる会社役員を西村雅彦が演じていました。そこまで露骨ではないとしても今でも高くつく空港建設で甘い汁を吸っている人たちはいるんでしょうね。